ロングラン21年目。
……凄すぎます。
高校生の頃に映画「ジーザス・クライスト・スーパースター」に出会ったのが、私のアンドリュー・ロイド・ウェバー体験の始まり。それ以来大好きなコンポーザーの一人です。今回初ブロードウェイ体験だったので、何を観るか迷った末、やはり原点に返ろうとこの定番作品を観ておくことにしました。
舞台を観て、あまり好きになれなかった映画版がかなり舞台に忠実にやろうとしていたことがわかりました。舞台のファンを裏切ってはいけない、という大テーマがあったのですね。それが映画を先に観てしまった私には違和感になったのだと思います。もう一度観てみようと思って映画版のDVDを入手しました。
ブロードウェイのスタンダードとなった作品だけあって、本当に様々なキャラクターが上手に配置されています。大ロングラン作品ですから、きっとこの舞台に立っている役者の多くは子供の時に観た舞台に憧れて、オーディションを受けたのでしょう。仕事として世代を超えて受け継がれていく土壌がしっかりと確立しているのは素晴らしいことだと思います。それは出演者だけのことではなく、たぶんスタッフも同様でしょう。
2時間半の舞台は十分に練られていてちっとも飽きません。歌も本当にみんな上手いし、動きも良い。三谷さんの冒険的で良い意味で荒削りな舞台とは対照的なスーパー・オーソドックス・スタイルですが、劇場そのものが外側から既に「オペラ座の怪人」の雰囲気を醸し出したりしていて、お客さんの楽しみたい気持ちに楽しませたい側が徹底的に応えているのが伝わってきました。
カーテン・コールの最後にチャリティへの呼びかけがあり、キャストがロビーに出て寄付を受け付けます。
お客さんはキャストと直接言葉を交わしつつ寄付に応じています。
実はこの場は、まだ無名のキャストにとっては、お客さんに顔を覚えてもらうチャンスでもあるのです。
創り手と受け手のこういう交流の場があるのはとても素敵なことですね。
ほめてもらえて嬉しそうにしている若い女優さんの笑顔が印象的でした。
もっと早く観に行けば良かったです。この歳になって初ニューヨークはちょっと遅すぎたかな……。