7月14日(金)
E4 London Transport Museum
ロンドン交通博物館
コヴェント・ガーデンの一角にある交通博物館。馬車の時代から始まって最先端の鉄道設備までの進化の歴史をたどる博物館です。実際に乗れる歴代の客車などもあって、世界中の子供たち大喜びの施設でした。日本の交通博物館のような小さなジオラマ鉄道などはありませんが、世界初の「地下鉄」の誕生の経緯など、歴史資料館としてもとても興味深い場所です。
ショップが充実していて、2022年に開通したばかりの新地下鉄路線エリザベス・ラインのデザインがとっても気に入ってキャップを買ってしまいましたた。このつばの模様が座席シートのデザインです。この地下鉄でロンドン中心地からヒースロー空港まで行くことができます。
S5 The Comedy of Errors Shakespeare’s Globe
「間違いの喜劇」シェイクスピアズ・グローブ(グローブ座)
シェイクスピアが1590年代に書いた双子2組の入れ替わり&勘違いドタバタコメディ。シェイクスピアの初めての喜劇作品だと言われています。初めてだというのに、このタイプのコメディの基本的な要素が全部入っている上に、「さっき彼がやったこと、見てましたよね!」と観客を証人として巻き込んだり、舞台じゅうを使って女性が強いドタバタバトルロイヤルが起きたり、アイディアも豊富で意外性もあって、ドリフターズやクレイジーキャッツのルーツさえも感じるような面白さ。しかもラストには生き別れの二組の双子兄弟が絆を取り戻すという家族のグッと来る話にもなっています。役者たちは、心地よい頭韻や脚韻に満ちて詩のように耳に響いてくるセリフを朗々と語り、その気持ちよさが物語と相まって客席を一緒に酔わせてくれます。こんなのを関ヶ原の合戦(1600)より前に書いていたシェイクスピアはやはり天才です。
この作品執筆の頃に完成したといわれる旧グローブ座を再現した野外円形劇場のシェイクスピアズ・グローブで自然光の下、古楽器の演奏と口上から始まる古式ゆかしいオープニングも含め、ルネサンス時代の雰囲気も満喫しました。
演劇の歴史をこんな風に自然に楽しく体感出来る環境が街中に自然にあることがとても素晴らしいし、本当に羨ましい。ここでシェイクスピアの全作品を観てみたいものです。
S6 Les Misérables Sondheim Theatre
「レ・ミゼラブル」ソンドハイム劇場
だてに40年近いロングランをやってないという完成度の高さ。オペラ形式で全編歌なので上演時間はたっぷり3時間ぎりぎりあるのですが、まったく飽きずに観られました。英語詞の響きと音楽の響きが劇場空間と一体化する心地よさ。あらゆる場面のタイミングも完璧。情感に満ちた報われぬ愛の演出も、戦いの迫力の出し方も、その後に来る虚しさの表現もとても繊細かつ深くて、本当によく練られています。歳月をかけて少しずつ磨き上げてきた舞台という印象。同じ演目をひたすらやり続けることの底力も感じました。上演の歴史の途中から加わったであろうCG技術の使い方も上手く、パリの地上から地下水道への遷移や、ジャン・バルジャンに救われたジャベールが自らの人生に失望して橋から身を投げる展開の演出はトリッキーな視覚効果が抜群でした。伝統的な表現形式ばかりにはこだわらない意志も伝わってきました。
(※ E=Event & Exhibition、S=Stage Performance)