Babauoù in Private Notes

アマチュア音楽ユニット、Babauoùに所属するKunio (Josh) Yoshikawaの雑記帳です。 我々のFacebook "Babauoù Book”にもどうぞお越しください。

「チャイナ・シンドローム」の現実感


すごく昔に観た作品ですが、再確認したくなりました。1979年のアメリカ映画。


カリフォルニア州ベンタナ原子力発電所を取材に訪れたテレビ局のリポーター・キンバリー(ジェーン・フォンダ)とカメラマンのリチャード(マイケル・ダグラス)は、中央制御室で地震をきっかけにした運転トラブルの現場に居合わせる。危機は回避され、電力会社はそのことについては詳細な発表をしなかった。しかし、カメラマンが密かに撮影していたその瞬間の映像を原子力の専門家に見せたところ、実は燃料棒露出の一歩手前という状態だった可能性が指摘された。追加取材に挑む二人だったが、局からも深入りをしないよう指示が出る。一方、現場のリーダーとしてトラブル回避に奔走していた制御室長ゴデル(ジャック・レモン)は、建設会社の手抜きチェックで溶接の確認が甘かった箇所から、衝撃の際にわずかな漏れが出たのを発見。会社に二週間の操業停止と厳密な再点検を要求するが、「止めれば止めただけ損失額が大きくなる」「調査が長引けば計画中の次の原発建設に待ったがかかる」という理由で却下される。意を決して、手抜きの証拠となる溶接部のX線写真をキンバリー達に届けようとしたゴデルだったが、その動きに気付いた建設会社と電力会社の経営陣は、発覚すればさらに損失が大きくなることを恐れ、ゴデルの口を永遠に封じることにする……。


見直す前から予想はしていましたが、今観るにはあまりにも現実感があって途中から胃が痛くなりました。高校生だった当時は、ハリウッド映画ですからそれでもかなりの誇張だろうと思っていました。事故の原因となる要素を見逃せば結果として経営も危うくなるんだから、実際にはここまではないだろう、と思っていましたが、生中継で告発しようとした技師が射殺される以外はほとんど既に起きているような気がします。いや…安全対策が不十分と気付いていた誰かが私たちの知らないところで犠牲になっている可能性もあるのかもしれません。キンバリー達に真実を語り始める時のゴデル技師のセリフ「I love that plant...That's my whole life...」が印象に残ります。


こう書いていても映画の話をしているんだか何だかよくわからなくなりますが、カンヌ映画祭で男優賞を受賞したゴデル役のジャック・レモンは確かに素晴らしい演技で「社員」としての葛藤と「技師」としての誇りに揺れ動く人物を見事に演じきっていました。ゴデル技師と同じ思いで今現場で頑張っている人たちもたくさんいるはずです。


ちなみにアメリカではこの映画の公開から2週間後にスリーマイル島の事故が発生しました。