数年ぶりに出張の多い仕事に戻ったので、旅の友となるポータブル・スピーカーを新しく購入しました。お店で10種類ほど試聴して選んだのがこれです。これがいちばん高くて、考えていた予算の倍以上だったのですが、聴いてみて正直ちょっとびっくりしてしまい、思わず購入してしまいました。スピーカーのサイズは幅14.3cm高さ5.5cm奥行3.5cm。これに手持ちのiPodをつないで聴いてみたところ、以下のような体験をしました。
・ビル・エヴァンス・トリオの「Waltz for Debby」で、演奏中のお客さんのガヤの人数がわかる。
・ビートルズの 「And I Love Her」のボンゴのリバーブの量が聴き分けられる。
・ビートルズやクイーンのコーラスが聞き流していても一人一人別々に聞こえる。
・レイ・チャールズの「Georgia on My Mind」でレイのかすれる声帯が見える(ようなイメージが浮かぶ)。
・あらゆるアコースティックギターの曲で弦にタッチする指の感触が聞こえる。
ダイナミック・レンジはこのサイズのスピーカーでは考えられないほど広く、このセットアップでベースのコピーが楽々できます。楽器毎の音の分離感・解像度は驚くべきものでした。設計者は元NASAのエンジニアだった物理学者だということで、やはり技術的にかなり踏み込んだ設計をしているようです。
一方、その踏み込みが逆に気になる点もありました。
楽器がほとんど全て分かれて聞こえてしまうので制作側のミックスの意図はかえって伝わりにくく、ある意味「ミックスの破壊」とも感じられます。アルバム「イエロー・サブマリン」の曲をこれで聴くと、リミックスの「ソングトラック」みたいに聞こえる、というとビートルマニアの方には伝わるでしょうか。また、もともと単体でダイナミック・レンジの広いクラシックピアノのソロ演奏のような曲を聴くと、ややわけのわからない感じになります。定位や帯域で無理に分離しようとして何かが混乱している感じ。
ただ、上記の実例で挙げたようにiPodの圧縮音源が聞こえたことは確かで、聞き慣れた音楽から様々な再発見をさせてくれる、非常に刺激的なツールではあります。とても狙いのはっきりしたスピーカーなので、誰にでもお薦めというワケではありせんが、個人的にはとても気に入っています。
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