Babauoù in Private Notes

アマチュア音楽ユニット、Babauoùに所属するKunio (Josh) Yoshikawaの雑記帳です。 我々のFacebook "Babauoù Book”にもどうぞお越しください。

ランバージャックス&東京サイケ


早稲田祭というイベントに初めて行きました。
Babaouoの相方のSatoruの母校なのに、何故か一度も行ったことがありませんでした。
当時は彼が私の大学の大学祭のライブに出てたから、ということもありますけど。


今回行くことになったのは、
ビートルズつながりの友人達が出演するライブがあったから。
早稲田大学にはビートルマニアというビートルズ専門のサークルがあり、
30周年記念ということで、OBも巻き込んだ大イベントになっていました。
観たのはランバージャックスと東京サイケです。
友人のバンドはクォーターアップルというのもあったのですが、
体調が良くなくて、残念ながらこのバンドだけ観られませんでした。
すごく面白いパフォーマンスだったらしくて、見逃したのがとても残念です。


<ランバージャックス>


ビートルズメンバーの解散後の曲をレパートリーにしているバンド。
コーラスが素晴らしかった。ピッチも縦もビシッと決まってとても気持ちよかった。
個々のメンバーの楽器の音がとても個性的なのと良い意味で反比例するコーラス。
コーラスの一体感が以前よりも支配的になった感じがして、
ランバージャックス・サウンドの完成を感じました。
他のバンドにはない魅力を完全に開花させたように思いました。


いろんなバンドのメンバーが集まって個性的な音を出すプロジェクトバンド、という印象があったので、
メンバーのみんさんに「パーマネントバンドっぽっくなりましたね!」と感想を言ったら、
「もともとパーマネントバンドです」と怒られちゃいました(汗)。たいへん失礼しました。


・Beef Jerky


以前にこれをやったライブを見逃していたので聴けて嬉しかった。
一緒に"Beef Jerky! Beef Jerky!"と叫ぼうと思って構えていたのに、
ショートバージョンでがっかりでした(笑)。
なかなかグルーヴをまとめにくい曲だと思うのですが、
ドラムがしめるところをきっちりしめているので素晴らしい出来だったと思います。
リード・ギターやまのさんの野太いアナログなサウンドが最高!


・Junior's Farm


キーボードのみんさんと別のバンドで一緒にやったことがある曲。
きっちりとした仕上がり。
自分のバンドの時の荒っぽかった演奏を今さら反省したり……。
※さんのリードボーカルがツヤもキレもあって気持ちいい。


・All things must pass


ボーカルのアキちゃんの中音域の伸びが印象的でした。
伊達にジョージの曲をたくさん歌ってきてないですね。
カッコよかった。


・London Town


本当にコーラスが美しかった。
そこに尽きます。
そのコーラスを支える演奏も含めて、
丁寧な出音が「London Town」のアルバムが持つ
透明感を醸し出していました。
生演奏で出すのは至難の技だと思います。脱帽。


・(Just Like) Starting Over


これもコーラスが素晴らしかったのですが、
コーラスの美しさだけでなく、
サウンド全体の美しさに打たれました。
襟を正した演奏で、ジョンへの深いリスペクトを感じました。
1980年12月9日のトラウマがあるので、
他人の演奏も素直には聴けない曲ですが、
別格の出来だったと思います。
聴いていたら、突然あの日のことがフラッシュバックしてしまって、
泣きそうになりました。


・Wah-Wah


もう十八番のレパートリーですね。
そのせいか、他の曲に比べるとちょっと荒っぽかったかな。
でも、それが味の曲でもあるから狙いだったのかもしれませんね。
理想的なラストナンバー。
ランバージャックスの今後がとても楽しみです。


<東京サイケ>


Babaouoに一度だけリード・ギターで参加していただいたことがある鹿さんのバンド。
ビートルズ自身がライブで再現不可能としていた曲を
ライブで完全に再現するというのがテーマということでしょうか。
初めて見せていただきましたが、
サイケデリック時代のレパートリーをこれでもか、
というほどに細部に至るまでこだわって再現した演奏。
堪能しました。
大学現役時代からこんなことやってたんですね。
ホントにマニアックです。


1. Strawberry Fields Forever


ドラム以外の人もタイコを叩く。楽器で出せないSEは口で。
すごいすごい。
ビートルズ編成(男子4人)+キーボードブースの女性二人というメンバー構成で、
この女性お二人の存在がとても重要でした。
鍵盤の割り振りだけでなく、ちょっとしたパーカッションの隠し味まで。
いろいろな音を黙々と再現していくのが凄かった。この後の曲でもずっとです。


2. Lucy in the Sky with Diamonds
3. Getting Better


ヤフオクで落札したというタンブーラも活躍。
この2曲を聴かせていただいて発見したのは、
これまで「リボルバー」がライブバンドビートルズと録音ビートルズの橋渡しアルバムと思っていたけれど、
実は「Sgt.Pepper's」のビートルズも十分にライブバンドビートルズの空気に満ちているということ。
実際にはせーので演奏したトラックも多かったと後で知ったのですが、
この東京サイケの演奏を聴いて、なるほどこういうことか、と思いました。


4. I am the Walrus


これこそ再現不可能系の極致ですが、女性たちの鬼気迫る演奏+コーラスもあって、
マジカル・ミステリーな世界に引きずり込まれました。
ラジオまで出てきて本当にすごかった。
バンドとお客さんのみんなでかけあいをやるのも楽しかったし、
曲の持っている空気そのものはけっこうライブ向きなナンバーですね。


5. A Day in the Life


鍵盤の上にずっと目覚まし時計が置いてあったので、
この曲がラストなのは予想していました。
が、肝心なところで鹿さんが鳴らしそこなう失敗。
そこでバカ受けする客。
……ひょっとして狙ったのでしょうか>鹿さん
だとすると、それはそれで素晴らしい仕込みです。
間違いなく会場中の心をあの瞬間に鷲掴みにしていました。


全体を通して、フロントマンとしての鹿さんの存在感が印象的でした。
以前彼がやっていたBBFで感じたのと同じインパクトです。
そのエンターテイナーぶりがとても楽しかった。


<その他>


友人のけんちゃん(クォーターアップル)がミキサーを担当していましたが、
曲を細部まで知り尽くしているので、バランスはもとより、
バーブの分量やエフェクティブな使い方までまさに縦横無尽。
観客の後ろにもう一人プレイヤーがいる!という活躍ぶりでした。
成功するライブというのはこういうスタッフが居てこそだと思いました。
鹿さんやみんさんの他バンド演奏時の楽器スタッフとしての
機敏かつ的確なフォローにも感心しきり。


ソロ期とサイケ期のバンドの間に他大学からのゲストバンドが二つ。
二つともビートルズ前期をレパートリーにしていてこれも楽しめました。
慶応からは女性中心の初心者系バンド。
東大からはとてもよく練習されている初期ものバンド。
初心者バンドはもちろん初心者なりですが、
中心になっている女性の黒っぽいフィーリングには可能性を感じました。
伝説に育って欲しいです。
東大のバンドはとにかくよく練習している感じが伝わってきて好感度が高かったです。


ビートルズ専門のサークル、というのが
実は今までもうひとつ腑に落ちていなかったのですが、
ビートルズはそのレンジの広さ故に、
楽器を初めてもつ人にも敷居が低く、
コーラスやアレンジを突きつめ出すと、
これはこれで質的にも技術的にも難度が高く達成感のあるテーマになる。
ビートルズ自身の進化そのものが
「バンド」という音楽表現形態を学んでいくにはやはり格好の素材で、
ビートルズはやはり既にひとつのジャンルになっていると、
だからこそ専門のサークルというのも成り立つのだと、
このライブを観て実感しました。


早稲田ビートルマニア30周年、本当におめでとうございます。