脚本:井上ひさし
演出:蜷川幸雄
出演:上川隆也、勝村政信、高岡早紀ほか
シアター・コクーン
20分の休憩が真ん中にあるけれど、そこまでが2時間15分……。
正味4時間の舞台でした。
でも、面白かった。飽きずに最後まで観られました。
平賀源内の表人格と裏人格を二人で演じる、という仕掛けをベースに、
風刺とだじゃれのスパイスを効かせすぎるほどに効かせつつ、
彼の波瀾万丈の生涯を描いていました。
すべての思いつきは裏打ちをした上で活かしきる、という信念のようなものを感じました。
井上さんは、こんな作品を1970年に書いていたんですね。
今の舞台として魅力的に仕上げた蜷川さんもやはりさすがです。
役者陣も皆良かったと思いますが、高岡さんの魅力は圧倒的でした。
スキャンダルは俳優にとって大きなダメージですが、
女優さんは、それすら自分の胎内に取り込んで自分の芸の魅力に変えてしまう人が多いと思います。
彼女もその一人でしょう。
若い頃よりも妖艶さを増して人間の業の深さを限られた時間と空間の中で印象づけていました。
音楽にビートルズへのリファレンスがあったのは意外でした。
解体新書の原書を見ながらの腑分けのシーンでは "I am the Walrus"。
舞台の大団円では"Golden Slumber - Carry That Weight"
曲そのものはオリジナルなんですが、アレンジが思いっきり引用されていました。
前半には"Got to Get You into My Life"や"Piggies"の引用もありました。
最近、なんとなくビートルズづいていましたが、まさかこんな場所でも出てくるとは!