Babauoù in Private Notes

アマチュア音楽ユニット、Babauoùに所属するKunio (Josh) Yoshikawaの雑記帳です。 我々のFacebook "Babauoù Book”にもどうぞお越しください。

Shine a Light / Rolling Stones & Martin Scorsese


ミック・ジャガー、1942年生まれ。
キース・リチャーズ、1942年生まれ。
ロン・ウッド、1947年生まれ。
チャーリー・ワッツ、1941年生まれ。
そして、マーティン・スコセッシ、1942年生まれ。
還暦をとっくに過ぎた男たちによる、ファイティング・スピリット満載のロック絵巻。


映画の冒頭は、撮影当日のセットリストを教えろと騒いでいるマーティンと、「開演1時間前までには決めるよ(笑)」と茶化すミックの喧嘩のようなやりとりから始まる。
子供の喧嘩みたいなことで異常な緊張感(ユーモア付き)を醸し出す編集。
そして、その緊張感を全員が楽しんでいる。
マーティンもストーンズも、映画に向かってギリギリまでテンションを上げていきたいのだ。
いくらなんでもありえないけど、映画では本番当日、バンドの紹介が終わった瞬間にマーティンの手許にセットリストが届いた。
「よーし!」と構えるマーティンの気合いに呼応して始まる「Jumpin' Jack Flash


ミックスもロックだった。
まずちゃんとしたライブのミックスを作ったボブ・クリアマウンテンに、マーティンはダメ出しをしたらしい。
「こんなのじゃなくて、近くに見えている楽器の音をデカくしてくれ!」
キースのアップの時にはキースのギターの音が目の前で聞こえる。
ドラムの背中からとったショットでは、チャーリーの叩くスネアの音が目前に。
マーティンのオーダーに応えて、音楽的なバランスが崩壊する一歩手前で走り抜けた名匠ボブの手腕にもあらためて感銘を受ける。
ボブにそういうミックスをさせるために、映像編集のファイナル・カットを先に作って届けたマーティンもさすが。
ストーンズの後でもプレイヤー同士のバトルが繰り広げられている。


客席からステージを狙ったショットで、前方5メートルの観客が突然頭の上にスチルカメラを付きだした。
「カシャ!」
シャッター音なんて聞こえるわけないよー、と突っ込んだけど、
マーティンが片目をつぶってニヤリと笑う顔が浮かぶ。
もちろん、それをやりたくてこのカットを使ったのだ。


遊ぶ。


挑発する。


真剣に。


途中に挿入された若い頃のミックのインタビューが印象に残る。
「60歳になってもこんなこと続けてると思う?」
「Easily!(もちろん)」


偽りなし。
ストーンズ、かっこいいです。相変わらず。
マーチン・スコセッシもロックです。相変わらず。



ちなみに、このCDはちゃんとしたライブのミックスになってます(笑)。