Babauoù in Private Notes

アマチュア音楽ユニット、Babauoùに所属するKunio (Josh) Yoshikawaの雑記帳です。 我々のFacebook "Babauoù Book”にもどうぞお越しください。

柳家小三治の落語 (Satoru)


今朝、録画してあったNHKのプロフェッショナル仕事の流儀を見ました。 



彼は70近い高齢でリウマチも患ってるなか、今も頑張っています
話は、真夏の昼間に池袋で行われた連続公演の密着取材をベースに進んでいきます。


周りの人はもっと楽すればいいのにというのに対して、彼は
「つっぱて生きてるんですかねぇ」と一言。


暑い中落語を聞きにくる、本当に落語好きなお客さんと、過酷な環境の中で向き合う。
自分を高めたい意識が現れた修行のような行為なんでしょうか。


5日目ぐらいの中日ごろ、高座から戻ってきた彼は楽屋でしきりに溜息をつく。
その夜、行きつけの床屋に言って、漏らす言葉は・・・


俺は自分の落語をやりてぇようにやるだけで、お客がどう思うと知ったことじゃねぇ
という自分と、この暑い中わざわざ来て頂いたお客に喜んで帰ってもらいてぇ、という
自分が一致しねぇんだよ・・・きっとどこかで一致するはずなんだが


深いですね。


そして、翌日の高座でも重い足取りで楽屋を出る。


ただでさえ迷いがある中、いつも高座に出ている彼特製の漢方薬入の湯のみが出てない


彼の気持ちが揺れる中、とっさにある言葉を自分の中でつぶやく


「小さく、小さく」


力を抜いて話した言葉は、お客さんの心にぽっと入るそうです。
つまりお客を喜ばそうと思って頑張ってもだめなんだということなんでしょうね。
そして自分の落語を極めることが、お客さんを喜ばせることと一致したのでしょうか。


彼は高座から戻ると、湯のみを出し忘れた若い者に柔らくしっかりした口調で
自らに言い聞かせるように・・・


楽屋で偉い人の頭を踏んづけたって、良かないけどたいしたことじゃねぇ
お客さんが一番なんだ。高座に間違いがあっちゃいけねぇ


頭で考えていることが、すなわちその人自身ではなくて、頭、心、身体の
鍛錬や調和の中で人というものが完成していくんだなぁと改めて感じました。


(Satoru)