Babauoù in Private Notes

アマチュア音楽ユニット、Babauoùに所属するKunio (Josh) Yoshikawaの雑記帳です。 我々のFacebook "Babauoù Book”にもどうぞお越しください。

朗読劇・朗読執事『刺青』


一人芝居の活動を続ける友人の役者の朗読劇を見に行ってきました。


朗読劇・朗読執事
〜執事がお読みする本・『刺青』谷崎潤一郎・作


場所は阿佐ヶ谷の駅のそば「ひねもすのたり」。普段は陶器の展示などをしているカフェなのだそうです。陶器と古い調度品が抽象的でレトロな雰囲気を醸し出す小さめのスペースに集まったお客さんは20人ほど。時間になると黒づくめの衣裳を着た男性がコントラバスの独奏を始め、じっと座っていた「執事」がすっと立ち上がって、客席脇の壁あたりに居るであろうお嬢様にお休み前の朗読を聞かせ始めます……。


1時間ほどの短い上演時間でしたが、コントラバスインプロビゼーションとのコラボが谷崎のつむぐ言葉・物語とスリリングにからんで、とても心地よかったです。


ひとつ気付いたことをメモ。
朗読劇なので小説を「手に取って朗読」していくのですが、これがとても重要なことだと気付きました。そこに「書物」があるおかげで、芝居の空気がその本の上に立ち上がります。書物が空間(場の空気)の中心にあって、それを役者と演奏者と観客が等距離で分かち合っている感じになるのです。もし役者がすべての言葉を覚えて語ったら、覚え終わった小説は「台本」となって役者の向こう側に行ってしまっただろうと思います。とても興味深い発見でした。