Babauoù in Private Notes

アマチュア音楽ユニット、Babauoùに所属するKunio (Josh) Yoshikawaの雑記帳です。 我々のFacebook "Babauoù Book”にもどうぞお越しください。

声の力

ようやくポール・マッカートニーの最新ライヴDVD "back in the u.s."を観ました。

バック・イン・ザ・U.S.-ライヴ 2002 [DVD]

バック・イン・ザ・U.S.-ライヴ 2002 [DVD]

実際に見に行った時には流れなかった涙が、"Back in the U.S.S.R." を聴いている時にあふれてきました。

 何故だろう、と自分でも考えていたのですが、それはポールの「声」のせいだと気づきました。 60歳のポール・マッカートニーが、最近の彼のレコードでは聴かれなかった「あの声」で歌っていたのです。 まさに、その曲をレコーディングした60年代の時に使っていた「声」で。

 「七色の声」。 ポールのボーカルがこういう形容をされたのを昔は何度も見かけました。 "Helter Skelter" で聴けるハード・ロック・ボーカル。 "I Will" や "Here, There and Everywhere" で聴かせるこの上なく優しい歌声。 "Lady Madonna" のエルヴィス・ライクな声色。 その全てを惜しげもなく使い切った "You Never Give Me Your Money" 。 彼の声は紛れもなくビートルズ・マジックのひとつでした。

 ポールはその驚くべき柔軟性と表現力で、どんなタイプのボーカルも自分のものにしていきました。 リトル・リチャードの曲を、リトル・リチャードのように歌って、「本物よりも良いのでは?」とまで思わせる応用力。 ポールの作る曲のジャンルを超えた幅広さは、そのまま彼のボーカルのジャンルを超えた幅広さにつながります。

 そして、ポールが「どんな曲にも合わせていける声の幅を持つ」ボーカリストなら、ジョン・レノンは「どんな曲でも自分の声に引きつけてみせる」ボーカリストでした。 ジョンは "Twist and Shout" だろうが "Money" だろうが、自分の声でねじふせてみせました。 ガール・ポップだった "Please Mr.Postman" すら、ジョンは自分のロックにしてしまいました。 なんと対照的で、なんとそれぞれに魅力的なボーカルスタイルでしょう。 この二人に、その二人が出さないタイプの声で歌うジョージとリンゴが加わっていたのですから、ビートルズはやはり史上最強のボーカル・ロック・バンドでした。

 ボーカル中心のバンドをやる以上、やはり彼らは究極の目標です。 Babaouoも複数のリード・ボーカリストを持つバンドなので、それを最大限に活かしていきたいものです。 まもなく "Tunes" のコーナーでそれぞれの歌声が聞けるようになります。 お楽しみに。(^^)

 最後に話が戻りますが、ポールには是非「七色の声」を駆使したオリジナル・ニュー・アルバムを作って欲しい! 「64歳になっても」ツアーの前に是非!

(JOSH)