Babauoù in Private Notes

アマチュア音楽ユニット、Babauoùに所属するKunio (Josh) Yoshikawaの雑記帳です。 我々のFacebook "Babauoù Book”にもどうぞお越しください。

ジョン・レノン最後のTVインタビュー〜「The Tomorrow Show」


1973年〜1982年までアメリNBCで放送されていた深夜のトークショー「The Tomorrow Show」。
トム・スナイダーという司会者が、かなり突っ込んだ質問をゲスト(毎回1対1)に投げかけるのが売りの人気番組でした。ジョン・レノンはこの番組に1975年4月に出演。ビートルズについて、自由について、そして、アメリカ政府と係争中の国外退去命令について語りました。ジョンの顧問弁護士も登場し、ジョンを追い出すために手段を選ばない政府のやり口について真っ向から斬り込んでいて、トム・スナイダーを含む番組スタッフの意気込みを感じました。だからこそジョンも出演したのでしょう。


一方、これを放送できるアメリカという国にジョンが執着していたのもわかる気がしました。何故アメリカなのか、何故ヨーコなのか、という質問に言葉を選びながら真摯に答えていくジョンの姿をたっぷり1時間観ることができます。ジョンがテレビに出演した最後の映像なのだそうです。



実はこのDVDに収録されているのは、1975年の放送分ではなく、そのインタビューをノーカットでリプレイした5年後の放送分。放送日は1980年12月9日です。「The Tomorrow Show」は、ジョンが射殺された翌日の夜に急遽生放送で枠付けをして再放送をしたのです。


印象的だったのは、リプレイ後に「ダブル・ファンタジー」のプロデューサー、ジャック・ダグラスが生出演していること。前日の22時までジョンと一緒に居た彼は、まだ状況もわからず混乱した状態のまま、青ざめた顔でトムのインタビューに答えています。ジャックはジョンの遺志を正確に伝えるために今動かなければならないという使命感で出演を引き受けたようでした。


「1980年代は人を踏みつけにせずに何かを成し遂げる時代にしたい」


狂騒の60年代、個人主義の70年代を終えたその次は、家族を大切にして夢を実現させる、そんな時代になっていくはず。ジョンがそう言って音楽の仕事に帰ってきたのだということを皆さんに伝えたい。一生懸命自分を落ち着かせながら語る、まだ若いジャック・ダグラスがとても印象に残りました。


DVDは2枚組で、2枚目には1979年暮れのポール&リンダとデニーとローレンス・ジューバーの衛星中継インタビューと、1981年にリンゴとバーバラの自宅で収録した、再婚したての二人のインタビューが収録されています。リンダにも、彼女の生き方についてきちんと時間を割いて語ってもらっていたのが心に残りました。


ビートルズの再結成について質問したら君は席を立つと警告されているんだけど」と前置きして、「言葉を選んで聞きます。かつての素晴らしかったやり方にほんの少しも未練はない?」と聞くトムの度胸もなかなかのもの。ポールも「確かに最高だった。だからこそ、2度とはできない」と、当時の率直な気持ちを語っていました。


まだジョンも生きていて(だから可能性としての再結成は十分に有り得て)、因縁の日本公演にやってくる直前でした。